前のF.T.R.キャブ(KOSOのφ32の改造)は最初っからゴテゴテと色々いじくった割には
スンナリと走行可能な状態になりました。
しかしそこからがタイヘン。
スロットル開度が小さいとガビガビバビバビとチョーク引きっぱなしのような回り方で、
ある開度を超えると「ブワァァァァ!」とパワーが出始めるもんだからコントロールが難しい。
オマケに燃費が10km/Lチョイと激悪。
メインジェットとニードルジェットを絞っていくとガビガビがかなり収まるんだけど、
こんどはアイドリングが不安定になって、やっぱり乗りにくい。
リンク引きに改造したのは設置スペースの問題と強制閉鎖にしたかったからであって、
ベンチュリには手を付けてないので混合気生成性能には関係がないはず。
Haruさん
という友達が「KOSOの32は低回転のボコつきが収まらなくて30に戻した」
とか言ってたんだけど、もしかしてKOSO(というか台湾製ニセPWK)特有の症状なのかな?
30は問題なかったなら32以上で出る症状なの?
日本製の同サイズのキャブってどうなってるんだろう?
PWK33
Gアク
用のデロルトを買ったUASから買いました。
\13,200でした。
まず驚いたのがボディの大きさ。
口径はほぼ同じなのにフロートチャンバーのデカイこと。
KOSOは運転中のオーバーフローがヒドくて、
ミッションケースカバーのキャブより後ろの部分にガソリンの川が流れたような模様が付きます。
ベンチュリーボアに対してフロート容積が小さいので、
フロートバルブが一生懸命仕事をしてもフロート内の油面変動を吸収しきれなくて、
ダバダバとオーバーフローしてたんじゃないかと。
油面を下げると走らなくなっちゃうので仕方なくガソリン臭いまま走ってましたが、
フロートチャンバー大型化でオーバーフローが少しでも少なくなれば、と期待します。
で、フロートチャンバーが大型化ってことは今までのスペースに入り切らないので、
マニは作り直しです。
アイドルポートですが、ベンチュリへの吹出し口の形状がかなり違います。
KOSOの32がφ4.2の座グリの底部に0.3mmのオリフィスを開けているのに対し、
PWK33はφ2.0の座グリに0.6mmのオリフィス。
ジェットはKOSO32が#38(PWK28と同じ)に対してPWK33は#52なので
スロー系全体の形状が違っていて不思議はありませんが、
KOSOの32が28とほぼ同じアイドルポート形状なのに対し、
KEIHINは28と33で明確に形状を分けている。
KOSO32が性能不安定だったのは低スロットル開度(アイドル/スローポートの担当領域)だったので
ココの違いが影響してたのかな?
メインポート
ここも形状がゼンゼン形が違います。
デロルトの“プライマリ方式”と呼ばれるキャブレタのメインポートに似ています。
メインノズルの後ろ半分がカットされていて、
デロルトの言う「アトマイザー」のような形状になってます。
PWK処刑
先のKOSO32はたまたまピッタリサイズのインシュレータが前後とも見つかりましたが、
同じようにPWK33にピッタリな前後インシュレータを見つけて、
それに合うフランジなんかを作ろうとするとまた前回くらい時間が掛かっちゃう。
というワケでPWKのほうをイジメます。
入口側も同様に....
ボディは33だけど入口出口は32相当。
これによりインシュレータとエアクリは再使用可能、と。
負圧ニップルはキャブの左側面の円柱状構造物にM5のタップを切って取り付け、
オイルは“KEIHIN”のロゴをサラってM4のタップ。
スロットルバルブのすぐ後ろあたりに開孔するようにしました。
オイルラインの先端にクロームメッキのニップルが刺さってますが、
空圧用のマイクロカプラーを加工したものです。
ワンタッチで着脱できるのでキャブレタの取外しがチョー楽。
ガソリンライン用はバイク用品店で売ってるワンタッチカプラー。
負圧ラインは抜いても何か出てくるわけではないので直接抜き差し。
コントロールケーブル
スロットルはダブルケーブルの戻し側を使わないことにして、
引き側ケーブルは標準のB-Tunedスロットル
と同じものを作り直し、
純正の分岐ボックスを使って、オイルポンプとPWKを駆動。
純正の分岐ボックスはストロークが足りないのはわかってたんですが、
今回はとにかく早く動かしてみたかったので開き切らなくても良いことにしました。
キャブ行きのケーブルだけハイスロットル化する機構(TRT)はもう考えてあるので、
セッティング出しと平行してTRTを製作して、
出来あがり次第、全開可能なようにすれば良い、と。
「PWK33
(28くらい:当社比)」って感じ。
絶妙なトホホ感だ。
本体取り付け
アルミのアングル材をノコで切って、ケガしない程度にヤスリで角を丸めて、
現物合わせで穴をあけてチョウツガイで角度ずれを吸収して....
完全なヤッツケ仕事になっちゃいました。
ここで使ったチョウツガイは“フリーロック”という、
軸がカシメてあってカチャカチャ動かないようになってるものを選びました。
で、KOSO32をフラットトップ化までしてやっとメットインボックスとの隙間に押し込んだのに、
キャブ本体がデカくなった上にマニを高くして、しかもコントロールケーブルは普通に上に出したんじゃ、
メットインボックスとのクリアランス足りないじゃん.....
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
....って....
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
....ゆぅじゃなぁ〜い....
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
♪
メットなんかもう入りませんからぁーーーーっ!!
メットイン斬りっ!!
残念
メットインボックスをホットナイフで切除して、
余ってたGアクのメットインボックスの一部をホットナイフで融着、
友達のキムラクンと
「PWK100とかイケそうだよね」「あぁ〜、イケますねぇ(笑)」
....と、こんなことやっちゃうくらいならKOSO32だって
フラットトップ化なんてする必要なかったんじゃなぁ〜い?って、ゆうじゃ(略
フラットトップ化はスロットルバルブを強制閉鎖するための仕様でもあるので、
PWKも目処が立った時点でフラットトップ化(というかダブルケーブル化)しますよ。
ジェッティング
まずはキャブに付いてきたジェット類(下記)で走ってみます。
メインジェット:#165
スロージェット:#52
ジェットニードル:CGL
ニードルクリップ:3/5
エアスクリュー戻し:1.75(1と3/4)
KOSOに較べて低開度域のガボ付きはかなり解消した感じです。
KOSOの時は低開度が無反応なのでスロットルを大きく開けると突然回転が上がって、
フロントがボンッと上がって発進時のコントロールが難しかったんですが、
PWKはこの“ボンッ”が無くて全体的に回転変動がマイルドです。
ところがスロットルを大きく開けるとエンジンが咳き込みます。
スロットルバルブが開き切ってないのでメインジェットの担当領域なのか判断に苦しみますが、
容量が小さくて吸気抵抗がかかるエアクリーナーなので#165というMJはかなり濃いはずだと思います。
以前Gアクのキャブでメインを下げていったら全開でストールすることがあったのですが、
今回は濃過ぎでストールしてるような気がするんですよねぇ....逆だったらコワイけどなぁ....
KOSOでヒドかったオーバーフローはピタリと止まりました。
スロットルバルブが開き切っていない上にフルスロットルにするとストールするので
ちゃんと走行するにはスロットルは1/2くらいまでしか開けられませんが、
それでも気を抜くとフロントが上がるし最高速も125km/h出る。
ちゃんとセッティング出したいですねぇ。
・MJ下げ
メインを165から145→135と下げてみました。
→全開域のストールは収まりません。
・ニードル変更
「ニードルが悪いのかな」と思って、PWKに別添されていたR1370Jというニードルに変えてみました。
変える前に先端の太さを測ったのですが、R1370Jのほうが微妙に細いです。
普通に考えれば濃くなる方向なのですが、せっかく付属されてるもの使わないとソンじゃないですか。
→全然ダメ。今度は全域でマトモに走らなくなりました。
濃くなるはずのニードルで悪くなったのでやはり薄くする方向なんでしょうね。
・ニードル戻してクリップ位置変更
ちっとはマシだったCGLニードルに戻して、薄くなるようにクリップを上げて
(そうするとニードルが落ちるので)組みました。
→こんどはかなりマトモに走るようになりました。ただし全開域のストールは相変わらず。
しかもクリップ位置が一番端っこじゃコレ以上調整のしようがないじゃんよ....
・MJ上げ+SJ上げ
たぶん下げる方向のはずなんだけど、ここで敢えて上げてみたらどうなるのか?と思い、
メインとスローと両方上げてみました。
→低開度域のバリバリが更にヒドイことに!やっぱ下げるのね。
・SJ下げ
PWK33はMJ・SJの形状は28といっしょ。PWK28やKOSOに使ってたSJはPWK33より1ランク小さい(番手が)のですが、
この小さい番手のジェットも使ってみようかな、ということで52(60は全然ダメ)から45に一気に下げてみました。
するとバリバリがかなり減少、しばらく走ってると燃料計の針の下がり方が目に見えてゆっくりなんですよ。
よっしゃ、この方向なんだなと....
・SJ下げ+MJ上げ
更にSJを絞って(45→40)みました。どんどんジェットを絞っていって焼き付かないかな?
と若干心配だったのでMJは上げておきました。
DGカンパニーや近藤モータースさんが「SJとMJはシーソーみたいな関係だからね」と言ってたのも気になってたので。
→低開度域のバリバリがとうとう消えました。
しかし全開域のストールは相変わらず。やっぱメインも更に下げるんですかねぇ?怖ぇなぁ....
・給油
それまで10km/Lくらいだった燃費が12km/Lまで伸びました。
SJを45に絞ったのはタンクが半分くらいカラになった(燃料計が動き始めた)頃だったので、
満タンで計れば14km/Lくらいまで伸びるかもしれません。
と、ここで小休止。途中経過としてアップロードすることにしました。
低開度域のバリバリはSJの担当領域の問題と予想してましたが、
結局SJをKOSO32と同レベルまで下げたらバリバリが消えました。
同じレベルのジェットなのにKOSOは走らなくてPWKは走るんだから、
アイドルポートのベンチュリへの吹出し口形状の違いが影響してるんでしょうね。
じゃ、KOSOはこのポート形状を何に基づいて設計したのか?....
なんてね、KOSOにはベンチュリ径に対してポート形状をどう設計したら良いかといった技術がないので、
コピー元であるPWK28と同じにしてあるだけでしょう。
SJをKOSOと同じレベルまで下げたら低開度域が落ち付いたので、
MJもKOSOと同じレベルまで下げれば全開域も落ち付くのかもしれません。
とは言え、PWK33に標準付属のジェットより二周りくらい小さいジェットで初めてマトモに走るようになるというのは、
キャブレタ本来の性能を発揮できているとは言えないでしょう。
以前GアクにPWK28を付けた時は、色々ジェットをいじった挙句、最初に付いてたジェットに落ち付いた、
なんてことがあったのでキャブに元から付いてくるジェットって侮れない。
KEIHINなりに色々テストして決定した「標準設計値」なわけですから当然といえば当然ですけど....
PWKって元々レース用のキャブなんだし、
KEIHINとしては直キャブかエアフィル直付けくらいで使うことを想定してジェットの番手を設定してそうですよね。
そのジェット番手を大きく外れた領域でセットが出るということは原因はエアクリでしょうか?
見るからに容量小さいし、たまにエアクリ外してエンジン掛けるとビックリするくらい消音できてるので、
吸気抵抗も相当なもんでしょうから。
悩むなぁ....エアクリ作るのって難しいし....
気を取り直してセッティング出し後半
たかっちさん
という友達から、「KDXの純正PWK33のジェッティングはこんな感じですよ」と
たかっちさんはKDX所有の方なんですが、わたしがPWK33の存在を意識しはじめたのも
たかっちさんのページがきっかけです。
>>220R
>>=MJ145 JN1173(上から3段) SJ42 カッタウェイ#5
>>エアスクリュー戻し回転 1 1/2±1/4回転
>>サービス油面(ボディ合わせ面から)下0mm〜上2mm
>>フロート高さ16±1mm
あぁ〜、そんなもんなのかぁ
元ついてたMJが165だったので、±10番くらいでなんとかしなきゃならないのかと思ってたんですが、
KDXは一気に下がって145。
KDXはエアクリ付きなので吸気抵抗が加わればこのくらいは変動するんですね。
SJも40番台じゃん。ちゃんとしたエアクリが付いたKDXが40番台なら、
狭小エアクリのHIDランナーは30番台まで下げても良いのかも。
・MJ下げ、クリップ下げ
よっしゃ、というわけでMJを165から一気に125まで下げてみました。
クリップをいっしょに下げたのは、
クリップを中間位置にした状態で基本セットを出しておきたいと思ったから。
クリップを下げるとMJ下げに反して濃くなっちゃうんですが、
なにしろ125まで下げるんですから。
→全開時のストールが消えました。
いちばん最初に165で走り始めた瞬間「濃いなぁ」とは思いましたが、
40番も下げる事になるとは思いませんでした。
ちゃんと走るようになったんだから適性ジェットということなんでしょうが、
狭小エアクリに対する適性ジェットって本来は適性じゃないと思う。
全開時の加速にはまだ重さを感じます。もう少し下げてみようと思います。
低開度域のバビバビがかすかに再発しました。
クリップを下げたためと思われます。
・MJ&SJ下げ
MJを125から120に変更。120ってKOSO32で全開域のセットが出た番手だ。
SJは40から38に。KOSOでは35まで下げても低速域がダメだった。
→やっと発進から全開まで普通に走るエンジンになった。
極低開度域のバビバビは若干残っている感じ。
・クリップ位置変更
ジェット下げだけでは変化が少ない気がしたので、
クリップを1段上げて(薄くなる方向)みました。
→それほど変わった気がしません。
フル加速時の反応は若干良い気がします。
取り敢えずセッティング出し終了
やっと普通に走るようになったので、ここで一区切りつけておきます。
結局、半開から後のメイン担当領域はKOSO32と同じ120に落ち付きました。
半開前の領域はKOSO32の場合入手可能なジェットではセットが出ませんでしたが、
PWK33では入手可能な範囲でセットが出ました。
変なエアクリを付けたわたしも悪いんですが、
同じジェットでPWKは走るのにKOSOは走らないんだから、
キャブ本体を作るメーカーの技術力の差が出てると思います。
たかっちさんがKDXのデータといっしょに
バムレーシング
のページアドレスも送ってくれました。
キャブレタの基本知識からパーツ単品の価格まで網羅してます。
Nap's世田谷ではニードルやスロットルバルブの入手ができないので、
いよいよセットに悩んだらバムに当ってみることにします。
今後のメニュー
-
エアクリーナー改善
入口の5穴プラグの吸気抵抗がかなり大きいような気がします。
このプラグの有無で何か変化がでるかどうか試してみましょう。
(→入口改善の検証結果)
良い変化が出るようならエアクリーナーの大型化を本気で考えようと思います。
(→エアクリーナーVer.2の製作とセッティング)
-
TRT(Throttle Ratio Transfer)導入
今は分岐ボックスの制約でスロットルバルブが70%ほどしか開いてませんが、
キャブ行きのワイヤーだけハイスロットル化するTRTにより、
スロットルバルブ全開を確保する予定です。